先に動いたのはスレイヤーであった。
滑らかに、滑るように、それでいて悪夢のような破壊力を秘めた、強烈な"正拳"
「マッパハンチ!!」
だが、エディーもそれを黙って見てるわけではない。
徐に地面に手をあてがい、スレイヤーが到達するよりも速く、自らの攻撃手段を放った。
「ドリル!!」
影が動き、姿を変え、正にドリルと成りスレイヤーの体を抉らんとした。
が、スレイヤーはそのドリルに攻撃を当て、逆に破壊する事で危機を回避。離れた。
「どうしたぁ?その程度か?」
「・・・やれやれ。まるで自分の子供を相手に闘っているような気分だな」
冗談などではない。事実、彼はザトー―――今はエディーとなっているが―――を拾い、育てて、組織の後継者として立てたのだ。
正に核心をついた言葉であった。
「来ないか?それならばこちらから行かせて貰うぞ!!影よ、来い!!!」
現れたのは、膝上に来るか来ないかの影の塊。見ようによっては猪のようでもあった。
そして、それはエディーに呼応し、行動を開始した。
「跳べっ!」
エディーの合図に、影は鮫の形に変わり、スレイヤーに跳びかかった。
「避けるまでも無い」
グルグルと腕を回転させるようにして、スレイヤーは鮫の形をした影を叩き落すと、影を飛び越え、エディーに襲い掛かろうとした。
「迂闊だなっ!」
「何?」
エディーの余裕の笑みの意味はすぐに知れた。
「伸びよ!」
地面に落ちた影が、又もやエディーの合図に答え、まるで長い腕を伸ばすように空中のスレイヤーの体に迫った。
しかもその腕の先には、見るからに鋭利な爪まで付いている。
「ぬっ!」
鉤爪がスレイヤーを薙ぐより一瞬早く、スレイヤーは無理やりな体勢で下方に向けてパンチを放った。
それはあまた違わず、的確に影に突き刺さり、スレイヤーへの攻撃を妨げた。
・・・が、その攻撃の反動により、スレイヤーはエディーに向けてのベクトルを失い、そのまま重力に従い、たった今叩き落した影の真上に降り立たせた。
救いはと言えば、影がその姿を消し始めていたことか・・・しかし、スレイヤーは不意に、氷の短剣を後ろの首筋に突きつけられたような気配を覚えた。
(ここは・・・危険だな)
「遅いわぁ!!ドリルスペシャル!!」
先ほどのドリルなど、まるで比較にならないような大きさを誇るドリルが地中より突き出し、空気を割いた・・・
当然上にいたスレイヤーごと、突き割いたようにCやエディーには思えた。
「・・・・・・」
Cには声を出す事が出来なかった。
・・・ドリルが収まったあと、エディーの後ろで、奴の命を奪わんとする彼の姿を確認したから・・・・・・
「な・・・にぃ!!」
「・・・なかなか面白い大道芸だ。が、私から見れば、戦いごっこに過ぎんよ・・・」
スレイヤーの次なる行動は・・・