時の人


 
著者:v&w

 

 

 

 

 

なんでこんなことができるんだろう?

 

 

 

 

 

目の前のバッタやジョロと呼ばれる無人兵器の攻撃を回避しながら 俺はそんなことを考えていた

 

あの時・・・・・なりゆきでこのロボットに乗り込んで囮の役目を引き受けるはめになった

 

俺はリフトで移動しているとき、囮をはたすなんて考えずにただ逃げることしか頭には無かった

 

だが

 

バッタやジョロを見た瞬間、俺の中に何かが流れ込んできた

 

そして気がつけば初めて乗ったはずのロボットの使い方を知っていた

 

 

 

 

まるで長年乗っていたかのように

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごくきれいですね、ミナトさん・・・・」

 

「そうね、メグミちゃん・・・・」

 

「なによあいつ!! 本当にコックなの!?」

 

「・・・・ズズッ(お茶を飲む音)」

 

「いやいや・・・これはいい買い物でしたかな、ゴートさん?」

 

「むう・・・・・たしかにあれだけの動き、軍にもなかなかいない」

 

「アキトすご~~い!! さすが私の王子様 (はーと)

 

「ユリカ~~(涙)」

 

「あの人、本当にコックなんですか?」

 

通信中、ブリッジからのこんな会話が聞こえてきた

 

 

 

「「「「おお~~!!」」」」

 

「あいつ、本当にコックか?(こんど色々と実験に付き合ってもらおう)」

 

「・・・・班長、変なこと考えてません?」

 

ちなみにこれは格納庫

 

 

 

 

「俺のゲキガンガ~~~!!」

 

 

これは・・・・医務室

 

 

 

 

 

 

「あと、三機か」

 

 

そうつぶやきながら、機体の状態をAIに聞いてみる

 

 

「機体の状態は?」

 

[オールグリーン  戦闘に支障なし]

 

 

AIは そう報告してきた

 

 

「よし、終わらせようか」

 

 

ダンッ    ダンッ    ダンッ

 

 

そう言って、俺は目をつぶりながら無造作に三回トリガーを引いた

 

 

ドゴッ    ギャギャン    ギュゴン

 

 

「・・・・ナデシコへ、敵機全て撃墜。回収を頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《・・・・ナデシコへ、敵機全て撃墜。回収を頼む》

 

 

「え~~~? うそ~~~?」

 

「冗談でしょ?」

 

 

「まだ5分も経ってないぞ!? プロス、なんなんだ彼は?」

 

「ただのコックのはずなのですが・・・」

 

「ウソ言わないでよ! 非常識よ! あんなのがただのコックなはず無いじゃない!!」

 

「・・・・ズズッ(お茶を飲む音)」

 

 

「アキトすご~~い! ミナトさん、アキトのところへ急いでください!!!」

 

「りょ~~かい♪」

 

 

 

「ユリカ・・・・そこまで(テンカワ アキト・・・・許すまじ!!!)」

 

 

 

 

 

「バカばっか」

 

 

 

 

そして、俺はナデシコに帰ってきた

 

なぜだろう

 

ひどく懐かしく感じる

 

 

 

俺は本当に初めてナデシコに乗ったのか?

 

 

 

 

 

「おい、にーちゃん! お前本当にコックか? 信じられねえよ!」

 

「本当ですよ、ウリバタケさん」

 

「・・・俺、お前に自己紹介したっけ?」

 

 

そうだ なぜ俺は目の前の人物の名前を知っているんだ?

 

 

「・・・・・さっき通信で聞こえていたんですよ」

 

「ああ、なるほど! だが俺のことはセイヤでいいよ」

 

「わかりましたセイヤさん」

 

 

そういって握手を交わす

 

 

 

ちがう! 通信なんか全然聞いちゃいなかった!

 

一体何が起こったんだ?

 

そうだ、全てこのロボット・・・・エステバリスに乗ったからか?

 

!!・・・・なぜこのロボットの名前を知っている

 

 

しかし、驚いていることを表情には出さない

 

ちがう、出せないんだ

 

 

「お前さんが乗っていたこのロボットは『エステバリス』といってな、ネルガルが造った最新の機動兵器だ。どうだすげえだろ!」

 

「ええ、道理で生まれて初めて機動兵器なんてものに乗った俺が、あれだけ動かせるはずです」

 

「それなんだが・・・・おまえさん本当に生まれて初めて乗ったのか? 俺には信じられねえよ」

 

 

「俺もですよ」

 

本心からそう返事をしたとき

 

 

 

 

 

 

 

頼む

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

声が聞こえた

 

 

辺りを見回してみる

 

俺の近くにいるのはセイヤさんだけだ

 

 

「どうした?」

 

「いえ、何か言いましたか?」

 

「いや、何も言ってなにが」

 

「空耳かな?」

 

 

 

 

 

 

 

一目でいいんだ

 

 

 

 

 

 

 

まただ

 

「やっぱり聞こえる」

 

「おいどうしたんだ? 誰も何にも言ってないぞ」

 

「いえ、確かに聞こえるんですよ」

 

 

 

 

 

 

 

ユリカに

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・・あ?」

 

「おい、大丈夫か!? 誰か、急いでタンカを持って来い!」

 

 

 

視界がゆがむ

 

頭がズキズキ痛む

 

気持ち悪い 立っていられない

 

 

 

 

 

 

 

逢わせてくれないか

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞いた直後

 

 

俺の意識は、深い闇へと落ちていった

 

 

 

哀しさと寂しさで満ちあふれた漆黒の闇へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アキト?」

 

 

格納庫に着いた私が見たのは、頭を抱えながらうずくまって苦しんでいるアキトの姿だった

 

 

「アキト、どうしたの!?」

 

 

私はアキトの元へと急ぐ

 

 

「おい、艦長! こいつの知り合だよな? いったいこいつ、どうなっちまったんだ!? さっきからずっとこんなんだぞ」

 

「!!・・・・わかりません・・・・・・ずっと会ってなかったから」

 

「・・・くそ! おい、タンカはまだか!?」

 

「アキト、しかっりして!!」

 

 

私の声を聞くと、なぜかアキトの様子は落ち着いてきた

 

 

「う・・・・うう・・・・・・・ユ・・・リ・・カ?」

 

「何、アキト?」

 

「おい、大丈夫か?」

 

 

ウリバタケさんの言葉を無視して うずくまったまま アキトは私に話しかけてきた

 

 

「ユリカ・・・・なんだな?」

 

「そうだよ! アキトのお嫁さんのユリカだよ!」

 

 

 

 

((((((大丈夫か、この艦長?))))))

 

整備班&ルリ、ミナト、メグミ、プロス、ゴートはこの会話を聞いてナデシコの前途に不安を感じた

 

 

 

 

「本当か? 本当にミスマル=ユリカなんだな」

 

「? うん、そうだよ! それよりもアキト、一体どうしたの?」

 

「・・・・ユリカ」

 

「うん?」

 

 

 

逢いたかった

 

 

 

そういって、いきなりアキトは私に抱きついてきた

 

 

 

「あ、アキトいきなりなにするの?!?!?」

 

 

顔が真っ赤になっているのが自分でもわかる

 

周りの人たちも驚いている

 

 

「アキト、恥ずかしいよ!」

 

 

そう言って離れようとしたけどアキトは離そうとしない

 

 

「アキト!」

 

「・・・逢えた」

 

「え?」

 

「やっと逢えた」

 

「・・・・・」

 

「やっと・・・うう・・・・」

 

 

 

アキトは泣いていた

 

 

とても嬉しそうに

 

 

だけど

 

 

とても寂しそうに

 

 

 

「・・・・・アキト」

 

 

 

 

私はアキトの頭を優しくなでた

 

 

その瞬間

 

 

 

 

 

 

 

「ユリカ~!!」

 

 

 

誰かが私の名前を叫びながら、すごいスピードで走ってきて

 

 

 

ガシッ!!!

 

 

 

「が!?」

 

 

私に抱きついているアキトを頭を掴んで引き剥がすと

 

 

 

ガスッ!!!!!

 

 

 

そのまま遠くへ蹴り飛ばした

 

 

「え? え? え?」

 

 

混乱している私に、誰かが話しかけてきた

 

 

「ユリカ、大丈夫か?」

 

「ジュン君!」

 

 

私の姿を確認すると、ジュン君は底冷えする声でアキトに話しかけた

 

 

「・・・いててて」

 

「この助平め・・このまま冥土へと送ってやる」

 

 

 

そういってアキトに襲い掛かる

 

ジュン君は軍である程度の訓練を受けた

 

でもアキトは普通の生活を送ってきただけ

 

 

 

アキトが無事ですむはずが無い

 

 

 

「アキト逃げて!」

 

 

 

私は叫んだ

 

 

でもアキトはうつむいて立ち上がっただけ

 

 

 

「うおおおおおお!!  天誅!!!」

 

 

 

そういってジュン君はアキトに殴りかかった

 

 

 

でも

 

 

 

「おそい」

 

 

 

黄色い残像が走って

 

 

 

ドゴッ!!!!

 

 

 

「がっ!?」

 

 

 

気が付いたとき

 

 

 

「その程度じゃ俺は殺せない」

 

「・・・おまえ・・・・いったい」

 

「いいからこのまま寝てろ」

 

 

 

 

アキトがジュン君のお腹に拳を沈めていた

 

 

 

 

「・・・・・くそ!」

 

 

ドサッ

 

 

みんな、その光景を呆然と見つめていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ア・・・・キト?」

 

 

 

私がアキトに声をかけたら

 

 

 

「ユリカ・・・・」

 

 

 

アキトはうつむいたまま近づいてきて

 

 

 

「アキトだよね?」

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

私の少し手前で立ち止まって

 

 

 

「・・・アキトだよ」

 

 

 

そういって

 

 

 

「アキト、なんでうつむいたままなの?」

 

 

 

私の質問には答えず

 

 

 

「・・いきなり抱きついたりしてゴメン」

 

「え?」

 

 

 

私に謝った

 

 

 

「俺は・・・・」

 

「何?」

 

 

 

私はなぜかわかってた

 

 

 

「アキトじゃない」

 

「・・何・・・を言っているの?」

 

 

 

 

目の前にいるのはアキトじゃないって

 

 

 

 

「お前の知っているアキトじゃない」

 

 

 

でも

 

 

 

「・・・・アキト、顔をあげて」

 

 

 

聞きたくない

 

 

 

「お前の王子様じゃないんだ」

 

 

 

信じたくない

 

 

 

 

だから

 

 

 

 

 

「お願い、顔を見せて!」

 

「お前の王子様には」

 

 

 

この続きを言わないで

 

 

 

「いやっ! 聞きたくない!!」

 

 

 

 

 

言わないで

 

 

 

 

 

「なれないんだ」

 

 

 

 

 

 

そういって顔を上げたアキトは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とても哀しい金色の眼をしていた

 

 

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読んでくださった方々へ

 

ありがとうございます!

 

この小説は私の中のナデシコのイメージに基づいて

 

作られています

 

ゆえに違和感がある点が多々ありますが

 

ご了承ください

 

 

また、色々とご指摘してくださった『火真還さん』

 

本当にありがとうございました

 

おかげで勝てました!

 

ミルク「・・・ナデシコの話・・・投稿では初めてですね。」

シルク「い~んじゃな~い?面白そうだっしィ~!!」

ミルク「・・・それよりも、何故私達がここを任されたのですか?・・・理解に苦しむところです。」

シルク「ま~ま~、そんなこと言いなさんなって!それに、私が頼んだからだよ~ん!」

ミルク「・・・ふぅ・・・やっぱり姉さんの仕業・・・まあ、良いです。それよりも・・・」

シルク「うんうん!アキトさん強いね~!カッチョイ~!!」

ミルク(・・・バカみたいに切り替えが早いです)「そうですね・・・まあ、ナンバーズチルドレンのレベルでいえば、真ん中ぐらいですけど。」

シルク「んっふふ~♪これからの展開も、た・の・し・み♪♪」

ミルク「・・・ハーリーさんは出てくるのでしょうか・・・」

シルク「あっれ~?もしかして、ミルクって・・・ハーリー君の隠れファン?」

ミルク「・・・K3ウイルス、送り込みますよ?」

シルク「はぅ・・・そ、それだけは止めて~・・・ねっ?」

ミルク「・・・そうですか・・・残念ですね・・・更に改良を加えたのですけど・・・」

シルク「は・・はにゃ~!で、では~、皆さん!読んだ後は感想のメールを一行でもいいから送りましょうね?感想=作家のやる気です!!バイチャ!!!」

ミルク「・・・それでは、また・・・」

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