ぼくたちは、恋していく。

ふゆみ先輩(2)



By KEN









・・・・・・シュウジ・・・・・・。


・・・・・・シュウジ・・・・・・。


あたらしら、いけないことしたね。


・・・・・・せんぱい・・・・・・。


ごめんね、もう後戻りできないね。


あたらしら、もう・・・・・・共犯でしょや、シュウジ・・・。




















ちゅんちゅん・・・ちゅんちゅんちゅん・・・。


「あ・・・・・・」


うー・・・朝っぱらから元気だね・・・。
アンタも・・・。
・・・あーあ・・・。
男って・・・しょーがねーなー。


ムカシの夢を見た。
はじめて人を好きになって、はじめてキスをして、はじめてシようと思った時の夢だ。






























「懐かしーなー・・・」


む・・・シュウジのヤツ、なに見てんだ?
・・・中学のトキの写真?


「へーなまら懐かしー!中体連だ」


ナニゲなさをよそおってシュウジに寄りかかりながら言う。
さっと、写っているヤツらを確認する。
あたしにシュウジに・・・ふゆみ先輩。


「アケミか。びっくりさせんなよ、てめー」

「やらしーねぇ。あたしのブルマの写真なんて見てー」

「はぁ?」


お互い、ナニゲなさをよそおう。


「ちせに言いつけてやる。友達なのにまずいべさ」

「はんかくせーこというな!てめーの姿なんて、眼中にねーつの!」


ムキになって言い返す。
こちらもムッとくるから・・・。


「・・・じゃあ、誰の姿、見てんの?」


・・・と言ってしまう。
その反論にシュウジが少し固まる。


「はんかくさいのはあんただべさ。男って、どーしてこうなのかねぇ」


少しおちょくってみる。
それで言い返してくるならまだいい。


「なんでこんな写真とっとくの?昔のことなのに」

「・・・うるせーな。てめーみてーな恋もしたことねー女に、男心はわかんねーよ」


ナニゲないコトバが痛かった。
でも、これはシュウジのためなんだ。


「・・・ごめん」

「え・・・いや・・・な・・・なんだよ、急に」

「あたしは・・・ただ、ちせをキズつけないでいてほしいだけ・・・」


ありったけのコトバを探して・・・。
できるだけ伝える。


「ちせはいい子だから。・・・あんたを勧めたのもあたしだから。・・・だから・・・」

「あ、お、おい。何そんな深刻になってんだよ・・・」

「・・・ちせが言ってたもん。あんたとうまくいってるかわかんないって」

「・・・ちせが・・・?」

「自分のせいだって」

「は?」

「そんで軽い気持ちで初恋のこと聞いたら、ギクッとしてそのあとしまったぁってカオしたって」


少し睨み付けて言う。
シュウジは冷や汗をかいているのではないか・・・?


「バカ・・・あれは・・・」

「わかってるって!あんたとつきあい長いからね」

「・・・お、おう・・・」

「でも!あたしも、ちせがそんな心配するこっちゃないよって思ってたら・・・」

「う・・・」

「あんた・・・そんな写真・・・」

「違うって!オレさ、昨日、なんか似てる人見ちゃったんだわ」

「ふゆみ先輩を?」

「自転車ですれ違いざまなんだけどさーなんか気になっちゃってさー」

「ふゆみ先輩、今結婚して、確か千歳だかどっかだべさ」


少し嫌味なカオをして言ってやる。


「あー。何年か前もらった年賀状に書いてあったわ。それ以来音沙汰なし」


少し安心した。
コンタクトとられていると、なんか嫌だ。


「そーいや、お年玉クジ当たったんだよなー」

「・・・あんたさー、ちせともそーやっていろいろ話してあげなよ」


・・・確かにうれしーけど。
ちせがかわいそーだ。


「あたしにはペラペラよけーなことしゃべるくせに、ちせには無口きどってさー」

「・・・・・・」

「別に、よけーなことはいーから、大事なことは話しなよー」

「うるせーな!なにも知んねーくせに。てめーオレのかーちゃんかよ」

「あのねーあんたがたよりないから母性ホンノー出してやってんでしょ」

「ちっ・・・」

「なによぉ・・・なにムキになってんのよ」

「なってねーよ」












「なんだアイツ母性本能ソンしたべや」


少しムキになってしまったか・・・。
でも、あたしは間違ってないと思う。
あたしのせーじゃ、ない。


「アケミーサイホー道具かしてー」

「あたしはあんたのかーちゃんじゃないよ!」

「えっ?あ・・・ごめん!」


心配している相手はのほほんでなんかムカツイた。






・・・で、結局いつものメンバーでちせをからかうことにした。


「笑う?」


「う、うん。本人は気づいてないけど、最近よく笑うようになったの」

「それが?・・・いーじゃんブアイソより」

「シュウちゃんは『ぶっちょーづら』のときが一番優しいんだわ」

「ふーん・・・」

「ホントに笑ってるときはいーけど。優しく笑ってるときはムリしてるときなの」

「・・・・・・」

「あたしでもそれくらいはわかるようになったんだ」


なんとなくちせが儚いかんじがした。
そんで、なんかオトナっぽいかんじだ。


「でもムリしてるシュウちゃんを見るのはつらくって・・・」

「・・・・・・」

「どーしていいかわかんなくって」

「・・・ちせ、あんたシュウジとやれ!」


もういー。


「や?」

「うじうじアタマで考えてもイライラするだけ!体に聞いてみなや!」


・・・あたしは体育会系なんだ!


「女は子宮で考えるんだ!」

「やっ・・・でも心のジュンビが・・・」

「がんばれちせ!!」

「そーだ!アケミの言うことを聞けば間違いないよ!」

「おう!」

「う・・・うんっ」


ちせが思わずうなずくのが面白かった。


「まかせといて!あたしは処女だけど」

「あたしも」

「あたしもー」

「あんたら・・・」


・・・まったく二人そろって世話やけるんだからー。
なにがよく笑うよ・・・。
あたしなんて、笑いかけてもらったことすらないよ・・・。






























くそーアケミのヤツ、ぼくの苦労も知らねーくせに。
ぼくだって、あんなコトがなければ・・・。
ぼくだってトマドワない・・・。
最近・・・正直フツーにヤツらがうらやましいと、よく思うんだ・・・。


「ひゃーそれにしても暑っついねぇ、シュウちゃん」

「おー。・・・つーかおまえ、それ10回目」

「・・・そーだっけ?」

「あー。それと早くアイス食え、落ちるぞ」

「あ、うん」


夏の時期は暑いのは当たり前だけど、今日はとてつもなく暑かった。
そーいう日には定番なのか、アイスを二本買った。
・・・モチロン、ぼくの奢りだ・・・。


ちせはトロいから、アイスがまだほとんど原形をとどめているのにも関わらず、とけかけていた。
ちせの手は、アイスでベタベタ。
ったく、アケミなら数分と言わず、数秒で食っちまうのに・・・。


「あっ」

「・・・お約束かよ、おめー」

「ごっ、ごめん。ごめんなさい・・・」

「いや、オレはいーんだけどさ・・・」


ちせの目が涙目になっているので少しカワイソウだった。
ちせは、アイスが落ちた地点を涙を流しながら見てた。
しゃがみ込んでまでいるので、かなり落ち込んでいるみたいだ。


「いいって。それ、アリにでもやれよ・・・・・・ホラ、オレのやるわ」


そー言って、ぼくのアイスを手渡してやる。
・・・あー、そー言えば、食いかけだ・・・。


「・・・・・・ゴクッ」


唾を飲む音が聞こえる。
カオを真っ赤にして、食べようか食べまいか一生に一度の決断を決めているような感じだった。


「・・・いらねーのか?じゃ、やっぱやめた」

「えっ?うぅん!食べる!」


ちせは、そー言って、ぼくの食いかけのアイスを口の中に入れた。
・・・ケッコー残ってたんだよなぁ・・・。
大丈夫か?・・・あんなに口に入れて?


「うぅ!」


目をギュッと閉じてしゃがみこんでアタマを抱えて唸っていた。
・・・マンガのようなお決まりだな・・・。






アケミわり・・・。
話すっつってもいまだにぼくらはこんなんです。
フツーの恋人どーしなら、もーとっくにこんな段階クリアしてるよな・・・・・・。


・・・つーかこーいう段階なし?


ぼくだってちせに言いたいことや聞きたいことはあるんだ。
たくさんあんだ・・・。


『オレの・・・初めて好きな人は・・・・・・その人と・・・キスとアレの一歩手前まで行ったんだわ・・・ちせ、ごめん』


・・・・・・。


・・・いや・・・言わない方がいいんだ。
きっと、ちせはぼくのことが嫌いになるだろう・・・。
そして、ちせの親父にだってぼくは顔向けができない。
・・・こんな厭らしいことをしたヤツが彼氏だなんて・・・。
だから、なんにも言えない・・・。


・・・な、なんなんだよ、ぼくは。
なんでぼくこんなんでグジグジ・・・アホか・・・。
なんだかすっげー、かっこわりー。


「シュウちゃん!」

「お、おう・・・」

「あ、あのね!今日アケミと買い物に行くヤクソクがあるの!」

「ん・・・じゃー今日はここまでだな」

「うん!また明日ね!」


ちせはそう言って、駆け出していった。
できれば、転ばないで欲しいな。












ドクン・・・ドクンドクン・・・。


この胸騒ぎはなんなんだ・・・。
嫌な予感がする・・・。
なんだかムカシのことを引っ張り出すような・・・。


キキッ!


昨日の自転車のブレーキの音がした気がした。


「きゃっ!」


ガシャ!


自転車が倒れた音もした。
思わず振り返って近寄ってしまう。


「だ、大丈夫すか?」

「あ・・・うん。あの・・・自転車で倒れただけなんで・・・・・・・・・いたっ」

「あー、擦り剥いて・・・立てます・・・」


ドクンドクン・・・ドクン!


胸騒ぎはまだおさまらない。
いっこうに強くなるだけだ。


「・・・シュウジ・・・」


・・・なんなんだ・・・?
なんで、こんな・・・?
ぼくはエスパーにでもなっちまったのか?
・・・バカな・・・。


「シュウジ・・・・・・君・・・?」

「・・・・・・え?」

「シュウジ?」


続く


後書き


ども、KENです。
ふゆみ先輩、今回もちょい役でしたね。
ちなみに、シエル先輩ですけど、ちょっち苦手かなぁ・・・。
嫌いじゃないんですけど・・・なんか、ツボにははまらない・・・(汗
とにかく、好きなんですけど、やっぱりあの人は鑑賞用の人ですね。
「さのばびっちばんばんわ~」とかいう先輩の方がツボにはまりますから(爆
あとは、お米券進呈してくれる子とかね・・・。
それか、自分のサイトで連載しているオリジナルキャラのヒロインが一番の好みでもあるかもしれません。
まぁ、主人公、ヒーローの方は、あまり好きではないのは、内緒です(苦笑)。
ちなみに、ヒーローを5000分の1くらいのかっこよさが私のかっこよさであります。

では。

天竜:予感は現実を引き寄せる、のかもしれません。次回、シュウちゃんの対応はいかに。

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KENさんへ

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