ぼくたちは、恋していく。
ちせの親父
By KEN
「はぁ・・・」
何時も通りの登校。
だけどぼくの気分はとてつもなく重かった。
なんていうか、肩に一、二トンの重しが乗っかった感じだ。
「ごめんね、シュウちゃん・・・」
ちせが、少し顔を赤くして言う。
まぁ、原因がちせにあるのだから、そうかもしれない。
実際、原因がなくても、こーいう顔になるだろうけど。
「・・・いーって」
ぼくは何故か疲れていた。
多分、原因はちせの親父の所為だ。
ホント、予想していたけど、ホントにあーいう人だとは思わなかった。
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「・・・寝んなよ」
ベンキョーを始めて、ちせは物の見事、三十分で寝てしまった。
はぁ・・・と少し溜息をついた。
・・・ったく、寝んなや・・・。
・・・なんつーか、ドキドキしちまうべ。
ガッコーの時からこんなんばっかだ。
「・・・帰るか?」
そーしよーと思った。
ゼッテーここにいると変な気を起す。
帰ろう、それが良い。
「ふぅ・・・」
ちせを起さないように部屋を出た。
「君はちせの友達かね?」
「え?」
一瞬、目の前の人物が誰だか分からなかった。
と、言うか何時の間にぼくの目の前にあらわれたのかも。
息を飲む。
少し息苦しい。
「え、えっと・・・オレは・・・」
なんて言えばいーんだろー?
友達?
それが一番無難だべ・・・。
そうだ、そういっておこう。
「あ、シュウ兄ちゃん帰るの?」
「あ、あぁ。いー時間だからな。・・・あ、お邪魔しました」
「いや・・・」「そーかー。あ・・・母さんが今後ともねーちゃんと仲良くしてやってくれってさ」
「お、おぅ」
「・・・君はちせの彼氏なのかね?」
ちせの親父さんの眼鏡が光る。
なんだかとてつもないプレッシャーを放っている気がする。
「そんなん当たり前だろー!ねーちゃんが男の人呼ぶんだからさー」
・・・・・・。
・・・なんだか、コワイ。
「君、少し話がある。少しいいかね?」
「・・・はい」
・・・ホントにコェー。
ちせの親父さんに居間に連れられてきた。
ソファーに座り込んだ、ちせの親父さん。
その親父さんが、指を向かい側の席に指を指した。
そして、「そこに座りたまえ」と言われた。
「君の名前は?」
「あの・・・シュウジって言います」
「そうか・・・」
なんでぼくはちせの親父さんと向かい合って座っているんだろう?
何気に茶が出ていて雰囲気っていうもんが出過ぎている。
「ちせとつきあってどのくらいだ?」
「・・・まだ一ヶ月経ってないです」
「君は・・・ちせが好きか?」
・・・ごくっとぼくの喉が鳴る。
「・・・好きだと思います」
・・・なんで『思う』って入れたんだ?
『好きだ』でいーじゃないか。
「思う・・・?」
「・・・・・・オレ・・・ちせに告られた時、勢いでokしちゃったんです」
ぼくの口・・・止まれ・・・。
「段々辛くなって、一回やめようって言ったんですけど・・・もう一回やり直そうと思って・・・」
「君たちはどうしてやり直したかったのかな?」
「オレ・・・女とつきあうの初めてで怖かったんです。でも、それはお互い一緒で、それが分かったから・・・」
「・・・・・・」
「これから、お互い好きになって行こうって思ったんですっ」
「・・・そうか」
・・・・・・。
少しの間、ぼくたちは黙った。
「君は・・・ちせが好きか?」
さっきと同じ質問。
だけど少し違うニュアンスがあった。
「・・・はいっ」
「これからもよろしく頼む。あの子はドジでノロマだからな」
「そ、それは、最近でよく分かりました」
「はは、そうか。・・・支えてやってくれ」
「・・・はい」
「そ、それじゃー、そろそろ帰ります」
「そうかい。じゃあ、また来てくれ。君とは、また話したい」
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「・・・ちせ・・・」
「ん、なーにー?」
「・・・好きだ」
ちせの顔が見れない。
「い、いきなりそんな事言われて、はずかしーわ」
「・・・そっか」
「・・・でも、うれしーな」
「ちせ」
ぼくはそういって、ちせの手を握る。
「あ・・・どーしたのシュウちゃん?」
「・・・おめー、ノロイんだよ。だから、引っ張っていってやるよ」
「シュウちゃん・・・」
「ちせの親父と約束したからな」
「おとーさん・・・」
そー言うとちせの顔が赤くなった。
「あの、アホ。なに言ってんのさ、馬鹿親父」
「あはは」
ちせが、顔を真っ赤にして、顔をふせて、ブツブツと呟く。
なんだか、それが面白かった。
そして、なんだか新しいちせが見えた気がした。
「ほら、行くべ!」
「う、うん!」
ぼくたちは、恋していく。
Fin
後書き
なんか、今回は手抜きっぽい・・・。
うぅ・・・。
どないしよう・・・。
次回からは、ふゆみ先輩を登場させたいです。
天竜:実に初々しい恋物語です。そしてとうとう親公認のカップルへ。頑張れ、シュウちゃん、ちせ。
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